個人の車を法人名義に変更する方法!任意保険の等級引継ぎは可能?
法人成りや会社を経営している方は、個人名義で持っている車を法人名義に変更することで、会社の経費として節税することが可能です。
ですが、車の名義変更のやり方がわからずに、多くの人が以下の様な悩みを抱えているようです。
● 「個人の車を法人名義に変更する手続きってどうやるんだろう?」
● 「個人から法人への名義変更には、どんな書類が必要なのかな?」
● 「法人へ名義変更しても、保険の等級は引き継ぎができるの?」
このような方のために、当記事では、個人から法人への名義変更で必要な書類や手続きに関して、わかりやすく説明しています。
運輸支局に行かずに自宅(インターネット)で手続きする方法や自動車保険の等級の引継ぎに関することもまとめていますので、個人から法人への名義変更の際に是非参考にしてください。
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【※経営者の方必見!】法人名義(会社名義)の車を購入すると節税にメリットがあります。当記事では法人名義の車を経費にする税金対策を解説。どうして節税できるのか、減価償却による経費の計上方法、新車と中古車のどちらが節税できるかなどを紹介しています。
個人名義から法人名義に変更する際の必要書類と手続き
車を個人名義から法人名義にする事で、会社の経費として計上する事が出来ます。
そのため、節税効果のある法人名義への名義変更をお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、手続きに必要な書類や手続き方法など分からない事も多いですよね。
事前に準備し、スムーズに名義変更が出来るように、必要な書類や手続きのやり方などについて詳しく説明していきたいと思います。
法人への名義変更で必要な書類
個人名義から法人名義への名義変更では、旧所有者(個人)と新所有者(法人)それぞれに必要な書類があります。
それぞれに準備しておく書類について、旧所有者と新所有者に分けて以下の表にまとめました。
旧所有者(個人)の必要書類
印鑑証明書 |
個人の印鑑証明書 |
---|---|
実印 | 個人の実印 |
譲渡証明書 | 車を譲渡することを証明する書類 |
自動車検査証 | 車検証 |
新所有者(法人)の必要書類
法人印鑑証明書 |
会社の印鑑証明書 |
---|---|
法人実印 | 会社の代表者印 |
車庫証明書 | 会社名で取得したもの
発行されてからおおむね40日以内のもの |
その他にも手続きには以下のようなものが必要になります。
株主総会議事録※ | 会社が承認したことを証明する書類 |
---|---|
申請書 |
OCR申請書第1号様式 |
手数料納付書 | 登録手数料500円の印紙を貼り付ける |
自動車税・自動車取得税申告書 | 自動車取得税が掛かる場合は納付書が発行されます |
ナンバープレート | ナンバー変更がある場合のみ必要 |
個人から法人名義にする場合には、「利益相反行為」に該当していない事を証明する書類として、※会社の議事録が必要になります。
取締役会設置会社だと「取締役会議事録」、取締役会非設置会社だと「株主総会議事録」の写しの添付が必要になります。
株主総会議事録に関してのひな形(テンプレート)や書き方の例は、bizocean(ビズオーシャン)様の「株主総会議事録の書き方と見本」で詳しく紹介されています。
※利益相反行為とは?
取締役が所有している車を会社へ売却する場合、会社が不当に高い価格や不公正な手続きで購入し、会社に損害を与える事。
会社と取締役との利害が相反する取引のこと。
また自動車取得税は、車の年式(年式の新しい車)によっては必要となる場合があり現金での納付になる為、手続きの前にしっかりと確認しておきましょう。
法人への名義変更の手続き
名義変更の手続きをする前にまず、株主総会を開催して会社の議事録を取得する事が大切です。
1人法人1人社長であっても議事録の添付は省略出来ません。議事録には「○○所有の自動車を会社に譲受する旨を承認した」等の記載がある事が必要です。
次に、名義変更をする際に事前に準備が必要な事は「車庫証明」の手続きです。
車庫証明は警察署で申請します。車庫証明に必要な書類、申請書なども警察署の車庫証明担当窓口でもらう事が出来ます。
車庫証明を取得してから1ヶ月以内に運輸支局での名義変更の手続きが必要なため、取得後はなるべく早く名義変更を行いましょう。
では、名義変更の手続きの流れを見ていきましょう。
通常、普通自動車の名義変更の手続きは「運輸支局」で行います。新所有者である会社の住所を管轄する運輸支局で行うため、事前に場所の確認はしておいて下さいね。
名義変更当日の手続き
書類や印鑑など必要な物をしっかりと確認し準備出来れば、運輸支局で名義変更の手続きを行います。
ナンバープレートに変更がある場合は、当日はその車に乗って運輸支局へ向かって下さい。
1.運輸支局窓口で書類を受け取る
申請書(OCR申請書第1号様式)・手数料納付書・自動車税、自動車取得税申告書を受け取る。
申請書には新・旧所有者の印鑑を押印する。
2.印紙の購入(登録手数料)
窓口で登録手数料500円の印紙を購入し、手数料納付書に貼付します。
3・ナンバープレートの返納(ナンバー変更の場合)
ナンバープレートを交付する所でナンバープレートを返納。(ナンバーを外す為のドライバーを持参しましょう)
ナンバープレートを返納し、手数料納付書に返納確認印を押してもらいます。
4.申請受付窓口で書類一式を提出
窓口に書類一式を提出し、書類に不備がなければ新しい車検証が交付されます。
新しい車検証の記載内容に誤りがないか、しっかりと確認しておきましょう。
5.税金の申告
自動車税事務所に「自動車税・自動車取得税申告書」と新しい車検証を提出。
自動車取得税が掛かる場合、納付書が発行されるので現金で納税します。
6.新しいナンバープレートの購入
ナンバープレートの購入窓口で、新しいナンバープレートを購入。
ナンバープレートを取り付けるためのビスがもらえます。ドライバーを使って自動車に取り付けましょう。
7・封印を行ってもらう
新しく取り付けたナンバープレートに封印を行ってもらいます。
車検証を持って封印取り付け場所まで移動し、車検証を渡して係の人が確認し封印されます。
以上が運輸支局での手続きの流れになります。(運輸支局により多少手続きの流れに違いはあります。)
ナンバープレートに変更がない場合は「5.税金の申告」で手続きは終了となります。
保険の等級を法人へ引き継ぎできる?
名義変更の際に注意しなければならないのが、保険の等級です。法人名義で保険を契約し直すと等級がリセットされ、保険料が高くなってしまいます。
しかし、保険会社の条件を満たしていれば等級を引き継ぐ事が可能になるんです。
法人名義で保険の等級を引き継ぐ事のできる条件についてまとめました。
保険の等級を法人へ引き継ぎできる条件
保険の等級を法人へ引き継ぐために必要な条件は以下の通りです。
● 法人化する前から所有している車である事
● 名義変更のタイミングは個人事業主が法人化した時
● 法人を設立した段階で自動車保険に加入している事
● 法人名義にする車の保険は個人事業主が記名被保険者として契約されていた事
● 法人名義にするまで個人事業主として事業をしていた事
● 法人の事業が個人の事業と同じ事業内容である事
上記の条件を満たしていれば等級を引き継ぐ事は可能です。
ただ、注意が必要なのは個人契約と法人契約とでは保険の内容が異なってくるという事です。
個人契約と法人契約の補償内容の違い
補償内容 | 個人契約 | 法人契約 |
---|---|---|
運転者の限定 |
運転者を限定すれば保険料の割引を受ける事が出来る。 |
運転者を限定することは出来ません。 |
人身傷害補償保険 |
搭乗中のみと搭乗中以外も選択可能。 |
搭乗中のみ補償しか選択出来ません。 |
ファミリーバイク特約 | バイク使用中の事故も補償。 |
ファミリーバイク特約が用意されていません。 |
ロードサービス | ロードサービスが付帯している。 |
ロードサービスが無い場合があります。 |
上記のように個人契約と法人契約とでは補償内容に違いがありますので、しっかりと確認しておきましょう。
名義変更の際に必要な書類などは各保険会社により異なりますので、保険会社に事前に連絡し確認するようにして下さい。
名義を変更せずに法人の経費とする方法
車の経費を会社の経費として全て計上できる事を考えると、個人から法人への名義変更が節税の為にベストな方法と言えます。
しかしローン会社や保険会社、保険料の問題などで名義変更できない場合もあります。
そのような場合でも、個人名義をそのまま法人名義にせずに法人の経費として計上する方法があります。
では、その方法について詳しく見ていきましょう。また、名義変更した場合との違いについてもまとめてみました。
個人の車を会社に貸す方法
個人名義のまま法人の経費とするには、個人から「会社へ車を貸す」という方法があります。
会社に貸した車にかかる費用(ガソリン代・高速代・整備費・保険料・車検費用など)を会社の経費として計上する事が出来ます。
会社に車を貸す方法は2通りあり、無償で貸す方法と有償で貸す方法があります。
どちらの方法であっても、個人から会社に車を貸しているという事を証明する為に、無償で貸す場合には「使用貸借契約書」、有償で貸す場合には「賃貸借契約書」を作成しておきましょう。
また、個人と会社の費用負担について契約書に明記しておく事も大切です。
有償で貸す場合には、その賃貸料を会社の経費とする事ができますが、反対に個人の方の収入になるので所得税が発生し、確定申告をする必要があります。
そういった事を考えると、使用貸借契約書をしっかりと作成した上で、無償で貸す方法がオススメです。
名義変更との違い
上記で紹介したように、車の経費を会社の経費として計上するには「会社へ車を貸す」方法と「個人を法人へ名義変更する」方法があります。
ではその2つの方法にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの方法による違いについて見てみましょう。
法人名義に変更した場合と個人名義で法人に貸す場合の違い
法人名義に変更した場合 | 個人名義で法人に貸す場合 | |
---|---|---|
手続き方法 | ・必要な書類を揃えて運輸支局での名義変更を行う必要がある。 | ・使用貸借契約書または賃貸借契約書を作成する。 |
保険の補償内容 |
・運転者の限定が出来ない。 |
・個人契約時と同じ補償内容で等級もそのまま。 |
法人の経費として計上できる費用 |
・減価償却費(車の購入費用) |
・保険料、車検代 |
ご覧頂いたように、それぞれの方法にメリットとデメリットがあるのが分かりますね。
法人の経費として計上できる費用としては、減価償却費以外は車を貸す場合でも、だいたい車にかかる費用は経費として計上する事が出来ます。
しかし、この減価償却費が経費として計上出来るという事が、名義変更した場合の最も大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
手続きなど面倒な事もありますが、前述したようにしっかりと準備し手続きの流れなどを理解していればスムーズに名義変更できますし、大きなメリットを考えるとそれほど大変な事でもないですよね。
名義変更手続きを自宅(インターネット)でする方法
名義変更は、普通自動車であれば運輸支局に行って手続きを行うのが一般的です。
ですが、早く名義変更の手続きをしたいけどなかなか時間が作れない…という方もおられるのではないでしょうか?
そんな方のために、自宅に居ながらインターネットで手続きが出来る「ワンストップサービス」という便利なサービスがあります。
24時間365日いつでもインターネットからの手続きが可能で、時間や場所に関係なく申請する事ができます。
車の手続きがネットでできるワンストップサービス
自動車を保有するための多くの手続きと、税金や手数料などの納付をインターネット上で一括して行うことが出来るのがワンストップサービスです。
≪出典:ワンストップサービス≫
ここでは、名義変更の手続きについて詳しく見ていきたいと思います。
ワンストップサービスで可能な手続きには以下のようなものがあり、名義変更を行う場合は「移転登録」申請から手続きを行う事が出来ます。
≪出典:ワンストップサービス≫
申請を行う為に、まずは事前の準備が必要です。手順に従って行いましょう。
準備が出来たら、移転登録の流れで申請を行う手順を確認し移転登録の申請画面へと進みます。
≪出典:ワンストップサービス≫
≪出典:ワンストップサービス≫
後は、手順に従って実施していくだけです。必要な書類や手順方法も詳しく記されていますので、比較的簡単に手続きを行う事が出来そうですね。
第三者に依頼する場合と比べて代行手数料を節約できたりするなどのメリットもあり、時間の都合がつきにくい人にはとても便利なサービスと言えそうです。
今回は個人から法人への名義変更について詳しくまとめてみましたが、いかがでしたか?
必要な書類や手続きの流れなどを理解し事前に準備していれば、安心して名義変更をする事が出来ますね。
保険の等級の引継ぎなどもしっかりと確認し、名義変更の際に是非参考にしていただければと思います。
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