車の修理代の支払い!保険を使うか使わないかの判断方法!
車の修理代に保険を使った場合、修理代だけ考えると支払額が減ります。
しかし、保険を使うと等級が下がり保険料が上がるため、その後の保険料の支払いも含めて考えると支払額が多くなってしまう場合があります。
実際に修理代の見積もりを出した人の中には、以下の様な悩みを抱えている人が多いようです。
● 「見積もりが20万であれば保険を使った方が良いのかな?」
● 「修理代に車両保険を使うか否か悩むなぁ・・・」
● 「修理代が10万の場合は、等級を下げずに自腹のほうが良いだろうか」
このような方のために、当記事では車の修理代を保険で支払った方が良い場合、自腹で支払った方が良い場合を紹介しています。
修理代の支払いに保険を使うかどうかを決める際の参考に是非活用してください。
修理代に保険を使った場合のメリット・デメリット!
車に乗っていると、ちょっとした不注意や予期せぬ事故、またトラブルに巻き込まれてしまう事もあり、車の修理が必要になる場合があります。
そんな時車両保険に入っていると、車の修理代を保険会社から受け取る事が出来るため、修理費用の事故負担額が減りとても助かります。
しかし、保険を使うと等級が下がって保険料が上がるため、本当に車両保険を使っても大丈夫かな?と悩む人も多いのではないでしょうか。
修理代に保険を使った場合のメリットとデメリットを含め、詳しく見ていきましょう。
修理代に保険を使うとどうなる?
事故などにより車の修理が必要になった場合に、保険を使って自己負担額を減らすという方法があります。
保険を使うと修理費用のうち、免責金額(自己負担額)を除く金額が保険会社から支払われます。
そのため、保険を使うと自腹で払う修理代が安くなるという訳です。
しかし、自動車保険にはノンフリート等級制度があり、等級が高いほど保険料の割引率が高くなるという仕組みになっていますが、保険を使って保険金を受け取ると、この等級が3等級下がってしまうのです。
また翌年から3年間は「事故有」等級が適用されてしまうため、割引率が低くなってしまいます。
その後3年間事故を起こさなければ、ようやく「無事故」等級に戻る事が出来るのです。
「事故有」「無事故」によって変わる各等級の保険料の割引率を以下の表にまとめました。
自動車保険の各等級の割引率
等級 | 事故有 | 無事故 |
---|---|---|
20等級 | -44% | -63% |
19等級 | -42% | -55% |
18等級 | -40% | -54% |
17等級 | -38% | -53% |
16等級 | -36% | -52% |
15等級 | -33% | -51% |
14等級 | -31% | -50% |
13等級 | -29% | -49% |
12等級 | -27% | -48% |
11等級 | -25% | -47% |
10等級 | -23% | -45% |
9等級 | -22% | -43% |
8等級 | -21% | -40% |
7等級 | -20% | -30% |
6等級 | -19% | |
5等級 | -13% | |
4等級 | -2% | |
3等級 | +12% | |
2等級 | +28% | |
1等級 | +64% |
等級が高く無事故の場合は、かなり大幅な割引率が適用されますね。
「事故有」と「無事故」では割引率に大きな差があるのがお分かり頂けるかと思います。
では、実際に10等級のドライバーが車両保険を使って等級が下がり保険料が値上がりした場合と、車両保険を使わないで等級が上がり保険料が値下がりした場合を例に、保険料にどれくらいの違いがあるのか?比較してみましょう。
車両保険を使った場合と使わない場合の保険料の比較表
車両保険を使った場合 | 車両保険を使わなかった場合 | |
---|---|---|
次年度 |
80,000円 |
53,000円 |
2年後 |
79,000円 |
52,000円 |
3年後 |
78,000円 |
51,000円 |
3年間 |
237,000円 | 156,000円 |
※3等級ダウン事故で車両保険を使った場合
※割引前の年間保険料を10万円と仮定 (元の保険料 55,000円 45%割引)
上記の比較表からもわかるように、車両保険を使った場合と使わなかった場合の3年間の保険料には81,000円もの差があります。
車を修理する際に車両保険を使うかどうかは、修理金額と現在の自分の等級や支払う保険料などもよく考えた上で決める事も必要ですね。
修理代に保険を使った場合のメリット
他人に車をぶつけてしまった、駐車する際にポールに当てて車が凹んでしまったなど、急に車の修理が必要になってしまった時に役立つのが車両保険です。
車を修理する際に使う事の出来る車両保険にはどういったものがあるのか?まずは車両保険でカバーされる補償について見ていきたいと思います。
車両保険でカバーされる主な補償
事故以外のトラブル |
いたずらで車に傷をつけられた |
---|---|
自分の過失 | 自分の不注意で他人の車にぶつけてしまった |
自損事故 | 電柱やガードレールなどにぶつけてしまった |
自然災害による損害 | 洪水・台風・火災などの災害による車の損害 |
保険会社によって補償内容や補償範囲に違いはあると思いますが、車両保険では上記のようなものが補償されます。
突然の事故で車の修理が必要になった場合、修理費用をすぐに用意する事は大変です。
車の損傷が大きい場合などは特に高額な修理費用が必要になるため、自己負担額を減らす事が出来るのは保険を使う最大のメリットと言えます。
1等級ダウン事故・ノーカウント事故
事故などで車の修理に保険を使うと、事故1件につき翌年の等級が3等級下がるのが一般的です。
しかし事故の状況によっては、1等級下がる「1等級ダウン事故」というのがあります。
事故の内容としては、
● 車両の盗難
● 落書きやいたずら
● 火災や爆発
● 台風・洪水・竜巻
● 飛び石・落石・ひょう
などがそれにあたり、翌年の等級が1等級のみ下がります。
また、保険を使っても翌年の等級が全く下がらない「ノーカウント事故」と言って、下記のような保険・特約によって保険金が支払われる場合もあります。
● 無保険車障害
● 人身傷害
● 搭乗者傷害
● 個人賠償責任特約
● 弁護士費用等補償特約
● ファミリーバイク特約
この場合は等級も下がらず、翌年には「無事故」で保険を使わなかった場合と同じように1等級上がります。
犯罪や災害に巻き込まれて車が故障してしまった場合、修理費用を補償してくれる人がいない為、自己負担で車の修理をしないといけません。
そんな時に、保険を使う事で自己負担額を大幅に減らす事が出来るのです。
「1等級ダウン事故」のように修理費用を補償してくれる人が存在しないケースでも保険金を受け取る事が出来るのは、保険を使った場合のもう1つの大きなメリットではないでしょうか。
修理代に保険を使った場合のデメリット
車の損傷がひどく修理費用が高額になってしまった場合などは、自分で修理するにはあまりにも負担が大きく、車両保険を使わざるを得ません。
自己負担額を減らす事が出来るのは保険を使う最大のメリットですが、やはり保険を使った場合のデメリットもあります。
修理代に保険を使った場合のデメリットとしては、
● 等級が下がる
● 等級が下がった事により保険料がアップする
● 事故有係数が適用される
などが挙げられます。
前項でも紹介しましたが、自動車保険にはノンフリート等級制度が適用されています。
事故の履歴によって等級が変わり、その等級により保険料の割引率も変わってくるため、事故で保険を使って等級が下がってしまうと保険料がアップしてしまう事になります。
さらに、ペナルティーとして「事故有係数」が適用され、事故の翌年から3年間は保険料の割引率が低くなってしまいます。
修理に保険を使わなければ、等級も下がらず「無事故」で保険料の割引を受ける事が出来るので、保険料も安くなり保険を使った場合に比べると保険料に大きく違いが出てきます。
修理費用がそれほど高くないのに車両保険を使うと、その後支払う保険料を計算すると逆に損してしまう場合もあるのです。
等級が下がった事によって現在の保険料がどれほど高くなるのかを、保険を使う前に一度計算してみる事も大切ですね。
保険を使った場合の、次年度以降のおおよその保険料を知りたい方は、以下のような概算保険料計算も参考にしてみてはいかがでしょうか。
≪出典:ソニー損保≫
修理代の支払いは保険と自腹どっちが良い?修理代10万円、20万円でシミュレーション!
事故の状況や車の損傷の程度によっては、保険を使わないと自腹で払う事なんて出来ない…という場合もあるでしょう。
ただ、修理の金額によっては保険を使った方がいいのか?保険料が上がる事を考えて使わない方がいいのか?悩むところだと思います。
そこで次は修理費用によって違う、保険を使う方が良い場合と自腹で支払った方が良い場合の判断方法について見ていきましょう。
保険を使った方が良い場合
車の修理に保険を使った方がいい場合は、修理代(自己負担額)>保険料になる場合です。
つまり、修理代(自己負担額)よりその後に支払う保険料の方が安く済む場合です。
保険を使うと等級が下がり保険料がアップしてしまいますが、翌年から保険料を多く支払う事になっても修理代に保険を使う方が得をするという事です。
例えば、修理代に300,000円かかるとして、現在の等級が10等級・年間保険料100,000円(割引前)として、3等級ダウン事故の場合で車両保険を使う場合と使わない場合で見てみましょう。
車両保険を使った場合 | 車両保険を使わなかった場合 | |
---|---|---|
次年度 |
80,000円 |
53,000円 |
2年後 |
79,000円 |
52,000円 |
3年後 |
78,000円 |
51,000円 |
4年後 |
55,000円 |
50,000円 |
5年後 |
53,000円 |
49,000円 |
6年後 |
52,000円 |
48,000円 |
6年間 |
397,000円 |
303,000円 |
※現在の保険料は元の保険料100,000円から10等級割引ー45%で55,000円と仮定
このように、保険を使った場合と使わない場合の6年間に支払う保険料を計算すると94,000円の差額があります。
6年間で保険を使わなかった場合と比べて94,000円多く保険料は支払っている事になります。
しかし修理費用の300,000万円を保険で支払っているため、単純な計算ですが
修理代300,000円 ー 保険料アップ分94,000円 = 206,000円
になり、206,000円分負担しなくて済んでいる事になります。
そう考えると、修理費用が300,000円ほどの高額な金額になる場合、修理代よりその後に支払う保険料の方が安くなる場合には、保険を使った方が良いと言えるのではないでしょうか。
自腹で払った方が良い場合
車の修理を自腹で払った方がいい場合は、修理代(自己負担額)<保険料になる場合です。
つまり、自腹で払う修理代(自己負担額)よりその後に支払う保険料の方が高くなる場合です。
修理代が少額なのに保険を使うと、翌年から等級が下がり保険料がアップするため、その後に支払う保険料の方が高くついてしまいます。
等級も下がりペナルティーもつく上に、保険料もアップして支払う金額が高くついてしまうなら、保険を使わずに修理代を自腹で払った方がいいですよね。
急な出費は確かに困りますが、その後の毎年の高い保険料の支払いを考えると、やはり少し無理してでも保険は使わず自腹で支払う方が良いでしょう。
では実際に、どれくらいの修理費用であれば保険を使わない方がいいのか?修理代が200,000円と100,000円と仮定して見ていきたいと思います。
まずは、現在の等級が8等級・年間保険料100,000円(割引前)として、3等級ダウン事故の場合、車両保険を使うのと使わないのとで保険料にどれだけ差が出るのかを見てみましょう。
車両保険を使った場合 | 車両保険を使わなかった場合 | |
---|---|---|
次年度 |
87,000円 |
57,000円 |
2年後 |
81,000円 |
55,000円 |
3年後 |
80,000円 |
53,000円 |
4年後 |
79,000円 |
52,000円円 |
5年後 |
78,000円 |
51,000円 |
6年後 |
77,000円 |
50,000円 |
6年間 |
482,000円 |
318,000円 |
※現在の保険料は元の保険料100,000円から8等級割引ー21%で79,000円と仮定
保険を使った場合と使わない場合の6年間に支払う保険料を計算すると164,000円もの差額がありますね。
6年間で保険を使わなかった場合と比べて164,000円多く保険料を支払っている事になります。
修理代と保険料アップ分の支払い金額の差額は以下のようになります。
修理費用が200,000円の場合
修理代200,000円 ー 保険料アップ分164,000円 =36,000円
修理費用が100,000円の場合
修理代100,000円 ー 保険料アップ分164,000円 =ー64,000円
修理代200,000円の場合では36,000円分負担しなくて済んでいる事になりますが、修理代100,000円の場合では保険料アップ分として64,000円多く支払っている事になります。
保険を使って修理代は支払わなくて済んだとしても、その後の保険料で64,000円も多く支払う事になるなら、保険を使うと損をしてしまうという事になりますよね。
修理代が200,000円の場合も負担しなくて済んだのは36,000円と少しの金額です。
等級も下がり「事故有」履歴がついてしまう事を考えると、200,000円くらいまでの修理費用なら保険を使わずに自腹で払った方がいいかもしれませんね。
修理金額の目安として200,000円程度までが、保険を使わずに修理費用を自己負担した方がいいと言われています。
ただ、車の修理が必要になった時に保険を使うか使わないかは、その時点での等級や負担している保険料、修理にかかる金額などによりケースバイケースです。
修理費用がどれくらいになるのか見積もりを取ってから、自分の現在の保険料などを計算した上で、保険を使うかどうか判断するのがいいのではないでしょうか。
保険は使わないに越した事はありませんが、思わぬトラブルで保険を使わないといけないような場面に出くわしてしまう事もあります。
保険を使うか迷った時の判断方法のひとつとして、今回の記事を参考にして頂ければと思います。